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板倉 充洋; 蕪木 英雄; 荒川 忠一
Physical Review E, 71(5), p.055102_1 - 055102_4, 2005/05
被引用回数:9 パーセンタイル:39.32(Physics, Fluids & Plasmas)遅く進展する三次元の粒界割れ現象について、メゾスケールの有限要素法モデルを新たに構築しシミュレーションを行った。その結果、粒界の幾何学的なランダムネスによって亀裂先端の一部が進展を阻害され、その部分を迂回する過程で亀裂に分岐ができる三次元に独特なメカニズムを発見した。またより一般的な連続空間での亀裂進展現象においても同様なメカニズムによって亀裂の分岐が生じる可能性を指摘した。
女川1号機再循環系配管サンプル調査実施チーム
JAERI-Tech 2004-003, 74 Pages, 2004/02
本調査は、女川原子力発電所1号機原子炉再循環系配管を切断し採取したき裂を含む材料サンプルについて、日本原子力研究所東海研究所の照射後試験施設において各種の検査を実施し、き裂発生の原因究明に資する知見を取得することを目的として実施したものである。本調査の結果、以下のことが明らかとなった。(1)き裂は、管内表面の溶接部近傍に発生しており、深さは約57mm程度であった。(2)き裂部破面のほぼ全体が粒界割れであるが、管内表面のき裂開口部には約100m程度の粒内割れを含む部分が観察された。また、その部分には、加工により形成された金属組織及び硬さの上昇が見られ、き裂は硬さの最も高い部分の付近から発生していた。本調査の結果と、溶接によりき裂部付近で発生したと考えられる引張残留応力及び炉水中の溶存酸素濃度等を考慮すると、このき裂は、加工層を有する管内表面で応力腐食割れ(SCC)により発生後、SCCとして結晶粒界を経由して進展したと結論される。
菊地 賢司; 加藤 崇; 杉本 誠; 石尾 光太郎*; 深谷 清; 加治 芳行
材料, 48(2), p.152 - 158, 1999/02
オブジェクト指向材料であるインコロイ908は、超伝導コイルジャケット材として核融合炉で使用するために開発したNi-Fe基材料で、超伝導化熱処理条件温度650度、超伝導温度-269度で使用される先進材料である。本論文は、アルゴン雰囲気で実施された熱処理でジャケットが割れた原因究明のため、割れた材料の組織、強度の調査、及び計算機シミュレーションにより力学的原因解明を行った結果を報告している。亀裂は3次元的に粒界に沿って進展していること、酸素の関与が認められること、かなり高い引張りの残留応力が塑性加工時に発生した可能性があることなどを明らかにした。最後に今後の対策として、引張りの応力発生を抑止できない以上、550度の手前の温度で十分にベーキングして、酸素濃度を下げる必要があることを提言している。
石井 敏満; 大岡 紀一; 齋藤 順市; 小林 俊一; 高橋 邦裕; 塚田 隆; 岩井 孝; 黒沢 義昭; 星屋 泰二; 辻 宏和
Proceedings of International Symposium on Case Histories on Integrity and Failures in Industry (CHIFI), p.227 - 236, 1999/00
本報では、JMTR一次冷却設備主循環系統で発生した機器の損傷事例、その原因調査及び復旧作業について述べる。第一の事例は、1996年の定期自主検査時に、圧力サージタンクで発見された微小な応力腐食割れである。割れは、非破壊試験によりタンク胴体とマンホール管を接合した補強板で検出された。応力腐食割れ発生の原因は、胴体と補強板との隙間に塩素分が濃縮された水溶液が存在したためである。タンクの交換と使用前検査は1997年7月までに終了した。第二の事例は、主循環系主熱交換器出口配管に接続されるベント弁で発見された一次冷却水の微小漏洩である。漏洩は、弁の溶接熱影響部に発生した粒界割れが弁本体外側に達したために生じた。調査の結果、割れは弁の本体と蓋の合わせ面に開口した鋳巣を起点に発生し、溶接の熱影響部の結晶粒界及び鋳巣に沿って腐食が進行していた。復旧と対策として、主循環系統の同型弁の交換を実施した。
菊地 賢司; 加藤 崇; 杉本 誠; 石尾 光太郎*; 深谷 清; 加治 芳行
第35回高温強度シンポジウム前刷集, p.95 - 99, 1997/00
インコロイ908は核融合炉の超伝導コイルジャケット材として材料設計され、充分にその機能を満たすポテンシャルを秘めている。一方、他の超合金と同様に、酸化により粒界割れを起こしやすいという弱点がある。本報告は、熱処理中に割れたジャケット材の原因を解析し、粒界割れの防止対策を示している。解析では、従来の材料研究における顕微鏡を用いたミクロ的な解析手法と陽解析に基づく大規模計算機シミュレーションの手法を融合させながら、波面の元素分析、破断材の機械的強度の変化測定、X線による表面残留応力の測定、塑性加工過程の計算機シミュレーションについて実施した。その結果、亀裂先端部の酸素濃度は検出限界以下であったこと、残留応力は塑性加工のプロセス上排除できないことなどを明らかにした。
塚田 隆
Materials for Advanced Energy Systems & Fission and Fusion Engineering '94, 0, p.466 - 471, 1994/00
中性子照射されたオーステナイト系ステンレス鋼の水中応力腐食割れは照射腐食割れ(IASCC)と呼ばれ、軽水炉及び水冷却型核融合炉(ITER)の炉内構造物健全性に関する重要な研究課題と考えられている。IASCCは高温水中において中性子照射量約510n/m以上で発生する粒界割れ現象であり,照射と化学環境の同時作用効果である。本報告の目的は日本国内におけるIASCC関連研究の概要を報告することである。国内の研究は1980年代中頃に始められ、主に軽水炉プラントの寿命評価及び長寿命化計画との関連において実施されている。またいくつかの研究は核融合材料開発との関連で行われている。主な対象材料は304/316型のステンレス鋼であり、高温水中照射後応力腐食割れ試験等が実施されている。本報告ではこれと関連する照射誘起偏析(RIS)の研究や、照射技術及び電気化学的腐食試験等について報告する。
降矢 喬*; 村岡 進; 田代 晋吾; 荒木 邦夫; 泊里 治夫*; 藤原 和雄*; 福塚 敏夫*
JAERI-M 82-061, 28 Pages, 1982/07
高レベル放射性廃棄物取扱施設の安全性評価研究の一環として、高レベル廃棄物の中間貯蔵を想定し、キャニスター、オーバーパック及び貯蔵施設用金属材料として有望視されているSUS304、SUS304L、SUS304EL、SUS309S、Incoloy825、Inconel600、Inconel625及びSMA5の8種について応力腐食割れに及ぼす線の影響に関する検討を行った。その結果、水冷貯蔵を想定した条件下では鋭敏化ステンレス鋼は、線照射により応力腐食割れ感受性を示した。これは線照射により環境条件の変化 即ち水の放射線分解によりO等が生成することによるものと考えられる。それ以外の鋼種では、SMA50が全面に錆が発生した以外は異常がなかった。又、非照射下でも鋭敏化ステンレス鋼は、微量Clと溶存Oの共存下では粒界応力腐食割れを生じることが確認された。空冷貯蔵を想定した大気中放置下での線照射下では、いずれの材料も応力腐食割れ感受性を示さないことがわかった。